【突発性難聴とアート ― 聞こえなくなる瞬間を可視化する表現】
■ 聞こえなくなる「瞬間」を描くアート
突発性難聴は、ある日突然起こるという特徴があります。朝起きたときに耳が詰まったように感じたり、片耳の音が急に遠くなるなど、その体験は人によってさまざまです。詳しい症状については、
https://www.nanbyou.or.jp/entry/82
難病情報センターでも解説されていますが、当事者が感じる「世界の変化」は数値だけでは語れません。
そのため、当事者の中には、自身の感覚をアートとして表現する人もいます。例えば、音が遠くなる感覚を、ぼやけた線や途切れる形で描く作品があります。波のような線が途中で消えたり、色が薄くなっていく構図は、「聞こえなくなっていく音」を視覚化する試みといえるでしょう。
こうした表現は、医学的説明とは異なる方法で、突発性難聴の体験を他者に伝える役割を持っています。
■ 音のない世界を描く新しい表現
音が聞こえにくくなると、日常の感じ方そのものが変わります。例えば、人の会話よりも光や動きに意識が向くようになると語る人もいます。
この変化は、アートのテーマとしても興味深いものです。音の情報が減る代わりに、視覚や触覚に注意が向くことで、作品の構図や色の使い方が変化することがあります。静かな空間を描いた作品や、細かな光の動きを強調した作品は、そうした感覚の変化を反映している場合があります。
実際に、障がいのあるアーティストの作品を紹介するプラットフォームである
https://artnowa.org/
アートの輪でも、音や感覚の変化をテーマにした作品が紹介されています。こうした作品は、単に「障がいの表現」というだけでなく、人間の感覚の多様性を示すアートとしても評価されています。
■ 見えない体験を共有する手段として
突発性難聴は、外見からは分かりにくい障がいの一つです。そのため、周囲に理解されにくいという声も少なくありません。
アートは、その見えない体験を共有するための手段になります。音が歪んで聞こえる感覚や、片側だけ世界が静かになる感覚を、形や色で表すことで、見る人は「音の変化」を想像することができます。
このような作品は、医学や福祉とは別の角度から、突発性難聴という体験を社会に伝えていきます。聞こえ方の違いを表現したアートは、音のある世界を当たり前と考えてきた私たちの感覚に、新しい視点を与えてくれるのです。
