◆障害者職業センターとは
障害者職業センターは独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が運営し、障害者雇用促進法に基づいて障害のある方の職業リハビリテーションを実施する支援機関です。全国47都道府県に「地域障害者職業センター」があり、障害者一人ひとりの就労に必要な支援計画や訓練などを行います。各センターでは、ハローワーク等と連携しながら職業的スキルを高める支援を行っています。
◆アート活動と就労支援の結びつき
障害者職業センター自体がアート制作を専門に提供する機関というわけではありませんが、センターが実施する啓発イベントやコンテストなどを通じて「アート」を活用した制度・機会が提供されています。たとえば、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構が主催する 「障害者雇用支援月間における絵画・写真コンテスト」 は、障害のある方が描いた絵画や撮影した写真を通じて、雇用促進に対する理解と関心を高めることを目的としています。
このコンテストは1973年から続く歴史あるイベントで、応募作品は厚生労働大臣賞などの受賞や全国各地での入賞作品展示会にも繋がっています。
このように、アート作品が就労支援の啓発ツールとして位置付けられる機会は障害者職業センターのネットワークでも生まれており、仕事や働く姿・生活のテーマを作品化することで、障害のある方の「はたらく」意味を社会に伝える役割を果たしています。
◆アートを通じた“個性×就労”の支援
職業センターと同様に、福祉分野の各種支援施設・事業所でもアートを軸にした支援が積極的に行われています。障害者就労支援事業所などでは、アート制作を継続的な活動として取り入れ、作品展示、オリジナルグッズ化、企業とのタイアップによる創作活動を学びの場とする動きがあります。たとえば、障害者福祉施設でのアート創作活動は、創造力の発揮だけでなく、生活力や社会性を培う機会にもつながっています。
また、地域の文化芸術支援センターや福祉現場と連携することで、アートの技法や表現を活かしながら、就労につながるスキルとして育成する取り組みも進んでいます。障害者芸術文化活動支援センターなど、地域レベルでの支援ネットワークも整備されており、専門的なアート支援窓口が各都道府県に設けられています。障害者芸術文化活動普及支援事業
◆アート支援の持つ可能性
障害者職業センターは、従来の職業訓練や就労相談だけでなく、アートという表現活動を通じて「働くこと」の多様性を捉え直す契機も提供しています。障害者雇用を促進するためには、単なる技能訓練だけではなく一人ひとりの個性や関心に寄り添う支援が重要です。アートはその個性を外へと表現する手段であり、自己理解や自己表現、社会との関わりを育む重要なツールとして位置付けられつつあります。
