◆ 白血病とは何か
白血病は、造血幹細胞が正常に成熟せず、未熟な細胞が増えることで血液の働きが損なわれる病気です。赤血球・白血球・血小板の不足により、感染が起こりやすく、貧血や出血傾向が現れます。急性型・慢性型、骨髄性・リンパ性など分類が多く、日本では2021年に約1万4,800人が新たに診断されました。現在は遺伝子検査の精度向上により、病型ごとにより適した治療を選ぶ時代になっています。
◆ 医療の進歩と広がる選択肢
慢性骨髄性白血病では、分子標的薬が治療の中心となり、継続的に服薬することで安定した状態を保つ患者が増えています。一方、急性白血病では化学療法に加え、造血幹細胞移植や免疫療法、遺伝子異常に対応した薬剤など、多様な治療が組み合わされています。病状に応じ、外来での治療継続が可能になるケースも増えており、日常生活との両立が以前より現実的になっています。
◆ 生活面での課題と向き合う
治療がうまく進んでも、再発の不安、長期的な副作用、仕事や学業との調整など、多くの課題が残ります。白血病は外見に現れない内部障害のため、周囲に理解されにくいこともあります。治療を続ける中で必要となる配慮、就労支援、医療費負担の軽減など、医療以外の支えも欠かせません。また当事者の中には、治療後の体力低下や集中力の変化を抱えながら、少しずつ日常を取り戻していく人も多くいます。
◆ 社会参加と表現の場をひらく
病気を経験した人が自分らしく活動するためには、医療だけでなく「社会とのつながり」が重要です。一般社団法人障がい者アート協会(https://www.borderlessart.or.jp/)では、障がいのある人が自由に創作できる場を提供し、作品を社会へ届ける活動を行っています。
同協会が運営する アートの輪(https://artnowa.org/)
では、白血病を含む内部障害を持つ人が自身の作品を公開し、表現を通じて社会と関わるきっかけを得ることができます。創作活動は気持ちの整理や前向きな姿勢につながることも多く、治療と生活の双方を支える役割を果たしています。
白血病を取り巻く状況は改善しつつありますが、治療だけでは解決できない課題も残ります。医療の進歩に加え、周囲の理解と社会参加の機会が広がることで、白血病と生きる人々がより安心して自分らしさを発揮できる環境が育っていきます。
