ユニバーサルデザインとは
定義と特徴
ユニバーサルデザインとは、「年齢や性別、国籍、障がいの有無などに関わらず、誰もが使いやすいように設計された製品やサービス、環境」のことです。 ベネッセ教育情報+2講談社Cステーション+2
従来の「バリアフリー」が“障壁をあとから取り除く”アプローチであったのに対し、UDは“はじめから多様な人を想定して設計する”というアプローチである点が特徴です。 田邊コンサルティング+1
また、UDには「公平性」「簡便性」「情報の容易な認知」「身体的負担の少なさ」などの7原則があります。 jfma.or.jp
SDGsとの関係
UDの考え方とSDGsは、根底の理念において大きく重なります。たとえば、SDGsの目標 10「人や国の不平等をなくそう」、目標 11「住み続けられるまちづくりを」などが、UDの対象領域と密接に関係しています。 ベネッセ教育情報+1
さらに、UDを取り入れたデザインやサービスが、誰もが参加・利用できる社会づくりを促進し、「誰一人取り残さない」というSDGsの精神を具体化する手段となりうることも指摘されています。 田邊コンサルティング+1
企業・社会における現在の状況と事例
社会インフラ・まちづくりの現状
国内では、公共交通・建築・情報アクセスといった領域でUD/バリアフリー化の推進が進んでいます。例えば、段差解消率、ノンステップバス導入率など具体的な数値が示されており、国としてUDの観点を行政・制度に反映させる動きがあります。 行政情報ポータル
その一方で、UDという概念そのものの認知度が低い、既存建築物や民間施設のUD対応が遅れている、という課題も報告されています。 行政情報ポータル+1
企業での取り組み
多くの企業がUDをSDGs・CSRの観点から取り込み始めています。以下、具体的な企業の取り組み事例を挙げます。
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エプソン株式会社では、UD及び「カラーユニバーサルデザイン(CUD)」を製品設計段階でガイドライン化。製品企画・設計・製造にわたるプロセスにおいて、UD評価を社内モニター制度などで実施しています。 エプソン株式会社
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キユーピーグループでは、食品・生活関連事業において「ユニバーサルデザインフード」の開発など、UDの視点を商品・サービスに反映しています。 キユーピー
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建築・設計・施工の分野では、 清水建設株式会社 のように、施設の設計段階からUDを取り入れた実績が紹介されています。たとえば段差のないスロープ、多目的トイレ、わかりやすいサイン計画など。 シムズ
アート・文化・社会包摂の取り組み
UDの考え方は芸術・文化分野にも広がっており、たとえば 一般社団法人障がい者アート協会が運営するサイトでは、音声・触覚を活用したアート体験、障がいのあるアーティストの創作支援などが紹介されています。 一般社団法人 障がい者アート協会 社会に認知され経済的対価を得られる仕組み
また、UDを通じたアートの取り組みが、SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」、目標10「人や国の不平等をなくそう」などにリンクしており、企業と障がい者アートとのコラボレーションも進んでいます。 AUBA(アウバ)
課題と今後の展望
主な課題
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認知・理解の不足:UDそのものの認知度が「バリアフリー」に比べ低く、実践に落とし込まれていないという調査があります。 行政情報ポータル
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既存インフラ・施設の対応:新設施設にはUDが反映されつつあるものの、既築建物・民間施設ではまだ対応が遅れており、後付け対応に限界があります。 行政情報ポータル+1
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情報・サービスのバリア:物理的なバリアを除くだけではなく、情報アクセス(ウェブ・デジタル化)や制度・心のバリアの解消も重要ですが、ここに手が回っていないケースも多く報告されています。 バリアフリー旅行
今後の展望
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UDを経営戦略に組み込む企業が増加:UDを「社会価値+事業価値」の両立視点で捉え、製品・サービス設計に初期段階から組み込む動きが加速しています。
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SDGs達成におけるUDの位置づけ強化:特に「住み続けられるまちづくり」や「不平等の解消」といったSDGsゴールとUDの親和性が再確認され、自治体・企業・NPOの連携が期待されます。
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アート・文化・多様な主体の参加:UDのアプローチは、必ずしも建築・プロダクトだけではなく、文化・アート・デジタルサービスにも拡がっており、誰もが参加・共創できる社会へ向けた新たな展開が見られます。
