■ 作業療法におけるアートの位置づけ
作業療法では、「作業による治療」という考え方のもと、生活動作や創造的活動を通じて機能向上を図ります。アート制作はその代表的な活動の一つであり、個々の障がいや目的に合わせて、絵画・工作・手工芸・粘土造形など多様な手法が選択されます。
一般社団法人障がい者アート協会でも、作家の身体特性に合った制作方法を共に探りながら、創作活動を支援しています。
参考: https://www.borderlessart.or.jp/artist/
アート制作は、機能訓練に自然な形で取り組むことを可能にし、楽しみや達成感がモチベーション維持にもつながります。
■ アートが担う作業療法的役割
● 心身機能の向上
筆記具を握る、紙を切る、道具を扱うといった動作は、手指の巧緻性、協調性、筋力維持などに効果をもたらします。また、構成や色選びの過程は認知機能の活性化につながります。
● 感情表現と精神面のサポート
アートは、言葉では表現しにくい感情を外に出す機会にもなります。精神的負荷を抱える方にとっては、安心して創作に向き合える環境が心理的安定を支えます。
● “できること” の再発見と日常生活への応用
作業療法は日常生活とのつながりを重視します。創作過程で獲得した動作や集中力は、食事、整容、書字、家事などの生活動作にも応用され、生活の質向上につながります。
■ 創作活動が広げる社会参加の機会
作品を通じて自己表現が可能になると、人とのつながりや社会参加のきっかけにもなります。「アートの輪( https://artnowa.org/ )」では、障がいのある作家による作品発表の場が提供されており、アートを通じた社会的評価や外部との関わりが生まれやすい環境が整っています。
アートは作業療法の一部として機能向上を支えるだけでなく、人生の豊かさや新たな役割を生み出す可能性も持つ、重要な活動となっています。
